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地域コミュニティって何でしょうね

2019年4月26日

少子高齢化など社会の変化に伴って地縁的なつながりが希薄化し、地域コミュニティに元気がなくなっていると言われています。「わがまち」の魅力を知って活性化につなげるための“初めの一歩”を考えてもらいました。

阪口努さん

特定非営利活動法人シミンズシーズ理事。「シミンの自律と自立を支援する」をミッションに、誰もが主体的に関わる社会や地域づくりをプロデュースする。
http://www.npo-seeds.jp/

京極真衣さん

子ども連れで音楽活動をしているママバンド「comodo 姫」代表。演奏活動を通して、出会った人たちに踏み出す勇気と笑顔を届けたいと姫路を拠点に活動中。
https://comodohime.wixsite.com/
co
modohime

藤原誠

生活協同組合コープこうべ 宅配業務を行う協同購入センター西播磨で担当エリアの責任者としてメンバー教育の役割を担う。2015年入所。

地元の住民と新しい住民の交流って難しいです

京極

姫路を中心に、子連れママバンドとして演奏活動をしています。メンバーはママが19人、子どもは37人で、子どもたちも一緒に活動しています。私たちが好きなことをして輝いている姿をみてもらいたい。そして、他のお母さんたちにも、外に出ていくきっかけにしてもらいたいと活動を続けています。

阪口

地域や公共施設でコミュニティに関わる仕事をしています。ここ「かこむ」※の運営もその一つです。地域の人たちがくらしを楽しむ「公の施設」として、人と人の出会いやボランティア機会の提供、イベント開催などの業務を行っています。

※ 東播磨生活創造センター「かこむ」:兵庫県加古川総合庁舎内に創設された施設。シミンズシーズ・BAN-BANネットワークス共同事業体が指定管理者として運営する。行政がサービスを提供するための「公共施設」ではなく、みんなで共有する「公の施設」として、県民が主体的に関わる活動の拠点となっている。 https://www.kacom.ws/

藤原

協同購入センター西播磨で配達担当のチーフをしています。メンバー教育のほか、数値管理や配達業務の代行が主な仕事です。
僕は地元の姫路市網干区に、妻と2歳、4歳の娘の4人家族で住んでいます。僕にとっては愛着のある町ですが、近所に子育てをしている世代がいません。

同じ町内には新しい分譲地があって、そこに住んでいる人たちともっと交流できるといいなって思っています。なんとなくですが、親子代々住んでいる人たちと、新しく住み始めた人たちの間に壁のようなものを感じるというか・・。

京極

私も、古い住宅地の中に家を建てて引っ越してきました。3年くらい経つのに、ご近所の人たちとの交流ができていないのが気になります。同年代がいないから生活時間が違うのか、顔を合わせる機会も少なくて。防災や防犯の面でも顔見知りになっておきたいのですが、声をかけるだけでも難しいなと思います。

藤原

うちは祭りが盛んで、祭りの日は学校が休みになるような地域なんですが、だんだんと参加する人が減ってきました。この先、自治会の高齢化と担い手の減少で伝統の継承ができなくなるのではと心配しています。

京極

ママ友のなかでも祭りの参加を敬遠する人は増えたような気がします。子ども会なんかもそうで、入る、入らないで悩む人がいます。祭りは準備の段階から、みんなが協力し合うことで近所のおじいちゃん、おばあちゃんとも顔見知りになるし、地域の交流ができると思います。私も祭りが大好きだから、そんなことを聞くと寂しいですね。

藤原

祭りに参加して、しんどいことも楽しいことも体験することで、地元への愛着や地域の人たちとのつながりができていくんだと思うんです。でも、新しい人にとっては、昔からのコミュニティに入って来るのが難しいのかもしれないですね。次の世代の子たちに祭りの楽しさを知ってほしいんですが。

阪口

そうですね。新しく入ってきた人は、すでに団結しているコミュニティに壁のようなものを感じるかもしれません。お祭りも、世代間の交流も、もう少しゆるやかな感じでつながっていけたらいいのかなと思います。「面白そうだからやってみよか」とか「一緒に何か作ってみよか」とか、楽しいことをきっかけにいろんな人が集まっていると、初めての人も参加しやすいですもんね。

お互いにつながり方がわからないだけかも

京極

近所の公民館に遊びに行ったら常連の人ばかりで、なんとなく入りにくいなって感じたことがありました。勇気を出して入ってみると「来ちゃダメ」という人はいないし、子どもたちを連れて行くと絶対に歓迎されます。私の気持ちの持ち方だけなのかなと思うのですが…。

阪口

敷居が高い感じですか?

京極

そうなんです。私たちの活動でも同じようなことがありました。地域の高齢者と子育て世代の交流が目的のイベントに参加したのですが、それぞれのグループでまとまってしまって、うまくいかなかったですね。

藤原

昔からの住民は新しい住民の迎え入れに戸惑っているし、新しい住民は先にできあがっているコミュニティに壁を感じている。お互いに距離感を気にして、つながり方がわからないだけかもしれないですね。旧住民とか新住民とか意識しないで、フラットな状態で町のイベントに参加できるようになるにはどうしたらいいんでしょう。

阪口

「いつでも、いろんな人が関われるようにしておく」という意識を持つことかなと思います。常に多様な世代や価値観、文化を受け入れる状態にしていると、いろんな人が自由にその場に入って来たり、出て行ったりできるようになります。コミュニティづくりなどの仕事をするときに、僕はそのことを一番大事にしています。

藤原

祭りのことばかりで申し訳ないんですが、青年団というのがあって毎年新しい子が入ってくるんです。その子たちに疎外感を感じてほしくないので、みんなが楽しく居られる時間を作ることだけは意識しています。

阪口

楽しく受け入れるというのは、めっちゃいいと思います。

参加しやすいことが大事ですもんね

京極

自治会の班長をしていたときのことです。自治会の会議や活動に参加するのは決まったメンバーというのが通例のようで、初めて参加した私は何をしているのかわからないことばかりでした。こんな状況のままで、もし災害が起こったら、地域で連携したり、助け合ったりできるのかなと不安になりました。

藤原

ご近所関係もそうですが、いろんな価値観を持っている人がいるから、地域の人たちとの交流って難しいですよね。特に若い世代はそれぞれが別のコミュニティを持っているし、SNSなどでつながりたい人とつながることができる時代に、地域のつながりを続けていこうとすることに無理があるのかな…。

阪口

生活環境やくらし方が変化していくなかで、昔ながらの自治会組織は慈善活動とか一斉掃除とか面倒くさいことをするというイメージになったんでしょうね。

藤原

地域コミュニティって何でしょうね。

阪口

そうですね。地域コミュニティを区切られたエリアだと考えると、路地ひとつで別々のコミュニティということになってしまいます。自分が大事にしているコミュニティがあるのに、それと切り離して限られたエリアだけのことを考えるのは難しいですよね。

京極

本当にそうですね。演奏活動でお母さん同士のつながりはたくさんできるんですが、自分の住んでいるエリアだけで考えると何をしていいのかわからない…。

阪口

ある市で、自治会組織を「めんどくさいもの」から「楽しいもの、共感されるもの」にしていこうという動きがすすんでいます。私たちも中間支援として関わっているのですが、住民が主体的に町の経営に参加して、新しいまちづくりを進める取り組みです。同じ市内でも、子どもが多い地域もあれば、過疎化が進んでいる地域もあってそれぞれに事情が違っているから、自分たちに合ったまちづくりをしようというものです。

藤原

面白い取り組みですね。それに中間支援の組織が手伝ってくれるのは魅力です。自分たちだけでやろうとすると、それこそめんどくさいが先に立ったり、自由に発言できなかったりするかもしれません。参加しやすいことが大事ですもんね。自分たちの地域を客観的にみることもできます。

阪口

そんな取り組みが広がりつつあるので、関わったら楽しい町内会、収益性のある事業をやってみる町内会などが増えてくるかなと思っています。

京極

私はお二人と話をしていて、地域コミュニティという枠をもっと大きく考えたいなって思いました。小さな範囲で考えていたから、動きにくかったのかもしれません。誰でも来れる場所や機会を作るだけなら難しくないです。自由に過ごせる場所に、いろんな人が集まってきて、そのなかでたまたま何か面白いことが生まれていけばいいのかな。

阪口

きっかけはやっぱり“楽しく”ですね。「みんなが楽しく参加できる状態をつくる」ということに尽きるかなと思います。私も行ってみようかなって参加することで、町の特性や良さがわかるし、自分のこととして関われます。

京極

ゆるやかで楽しいコミュニティが広がっていくうちに、「一緒に何かやってみよう」ってつながった人がご近所さんだったみたいなことになるかもしれませんね。

阪口

それがベストですね!

撮影場所:加古川市(東播磨生活創造センター「かこむ」・加古川市立加古川図書館・金剛寺浦公園)

  • 11 住み続けられるまちづくりを

藤原誠が感じたこと

日頃から地域とのつながりを持つことは、防犯、防災、高齢者や子どもの見守りなどといった観点からも非常に重要だなと思っていました。しかしながら、現実に目を向けると、世代間交流の難しさや、自治会未加入世帯の増加など、問題は山積しているんだと感じました。
また、阪口さんに紹介してもらった、旧来の自治会組織のカタチを見直し、住民が参画しやすい組織づくりをした事例には興味を持ちました。既存の枠組みにとらわれない、住民が主体となる地域づくりが今後は大事になるということを心に留めておこうと思います。

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