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被災地のボランティア活動って
ハードルが高かったです

2018年10月12日

被災地支援を仕事とする頼政良太さん、大学で防災を学び活動する池内麻菜美さんと
コープこうべ職員で高校生の黒岡優眞が「災害ボランティア」について話し合いました。

被災地NGO恊働センター代表

頼政 良太さん

被災地NGO恊働センターは阪神・淡路大震災を機に立ち上がった団体。「最後の一人まで」をモットーに災害救援事業、まけないぞう事業、足湯ボランティアなど、さまざまな活動を行う。
http://ngo-kyodo.org/

神戸学院大学の学生

池内 麻菜美さん

現代社会学部社会防災学科に所属し、大学のボランティア活動支援室の学生スタッフとして被災地支援活動の計画運営を行う。宮城県石巻市・名取市、熊本県の南阿蘇村、西原村、益城町、福岡県朝倉市などで活動。

コープこうべ職員

黒岡 優眞

学生臨時職員として店舗に勤務している高校生。ひょうごボランタリープラザとコープこうべが協働で運行したボランティアバスに参加し、平成30年7月豪雨で被災した岡山県倉敷市で機材倉庫の片づけなどを行った。

災害ボランティアを始めたきっかけはなんですか

黒岡

僕は、8月10日に岡山県倉敷市に初めて災害ボランティアに行きました。職場で募集チラシをみて「これにいかなきゃ」と直感的に決めました。

池内

私が中学生のときに東日本大震災がありました。東北地方がすごいことになっているのに、兵庫県にいる自分の周りはいつもと変わらない日常があって・・。ボランティアにも参加できず「なぜ自分は何にもできへんのかな」と、ずっと思い続けていました。今の大学を選んだのは、災害ボランティアをしたかったからです。大学生になって、初めてボランティアに行ったのは熊本地震の被災地でした。

頼政

僕は大学1年のとき。先輩に飯をおごってやるって誘われて、能登半島地震の被災地に足湯ボランティアに行ったのが始まりです。

黒岡

災害ボランティアって高校生には難しいのかな。僕の場合、組合員のみなさんの募金でボランティアバスが動いたから連れて行ってもらえたんですが、これが個人となるとすぐには行けなかったです。装備を揃えるだけでも結構費用がいるんやと思いました。

頼政

災害ボランティアというのはハードルが高いって感じですか?僕はずっとやっているから、わからなくて・・。

池内

私も中高生のころは、行きたくても行けないという状況でした。中高生にとって、県外に出るだけで勇気がいる行動だし、親も賛成してくれない。アルバイトも禁止だったから自由に使えるお金がないというのもあります。

黒岡

中学生のときには、困っている人を助けに行く方法とか、ボランティアに行きませんかという情報をどうやって手に入れるのかわかりませんでした。今だとボランティアセンターに聞けばいいとわかるし、ネットで調べることもできるけど。

池内

今はアルバイトもできるし、うちの大学では情報や金銭面などの補助があるからハードルはなくなりました。周りにボランティアをやっている人がいるという環境も心強いです。

頼政

金銭面や情報、行動している人が身近にいるという環境があるといいのかな。災害ボランティアって、泥をかき出すというイメージですか?

黒岡

がれきの撤去かな、片付けるというイメージです。

西日本豪雨被災地での活動:神戸学院大学
西日本豪雨被災地での活動:コープこうべ
池内

私も発災時の緊急支援というのが災害ボランティアのイメージだったんですけど、実際に体験してみると変わりました。初めてのボランティアのとき、土砂の撤去をするつもりで被災地に行ったのですが、実際にやらせてもらったのは心のケアだったり、晴れた日の芝生刈りだったり。失礼な話なんですが、ちょっと不満を感じました。

でも、それは間違っていたんです。自分たちは、“これだけの土砂を片付けて達成感を味わって帰る”という自己満足を求めていただけで。大事なのは現地のニーズや希望に合わせること、目の前にいる一人ひとりに向き合うことだと気づきました。

頼政

発災直後の力仕事はもちろん必要なんですが、毎日のくらしに寄り添っていく地道な活動も必要です。避難所から仮設住宅に移るとき、引っ越しをするとき、復興へのステージが移るごとに課題は違ってきます。多様なニーズがあって、ボランティアとして関わってほしいことはたくさんあります。それを誰かが一人でやるのではなく、いろんな人が得意なことを生かしながら繋げていく仕組みが必要だと思っています。

被災地の人と友だちになれるといいですよね

黒岡

片付け作業は正直しんどかったんですが、最後に「ありがとう」と言われて嬉しかったです。それだけでやってよかった。このために来たんだと思いました。

頼政

会話をすることは大事ですね。ボランティアに行って作業するだけだともったいないです。
被災地の人と友だちになれるといいんですけどね。知り合いになれば“忘れる”ことはなくなる。「今ごろ、どうしているかな~」と気になって自然と足が向くし、そろそろ1年経ったから行ってみるかなとなりますよね。そういう関係ができたらいいなと思います。
今度、能登の祭りに行くんですけど、能登半島地震からだからもう12年になります。今では「やっぱり祭りには帰らないとな」みたいな感覚になっています。大学生ってボランティアに行くと喜ばれませんか?

池内

はい。東北の支援に行ったときに茶話会に誘われました。最初は被災者ということを意識してうまくコミュニケーションがとれなかったんです。だけど、慣れてくると一緒にテレビを観て、家にいるように他愛もない話をすることが喜ばれるんだと感じました。

被災地での足湯ボランティア:被災地NGO恊働センター
東北での支援:神戸学院大学
頼政

そうなんですよね。最初は難しいと思うんですよ。変な気遣いをして構えちゃうと、相手も構えてしまう。でもね、特別な話をせなあかんのではなくて、お互いの接点を見つけられたら自然に会話できるようになります。
被災している人、一人ひとりにボランティアが話し相手になれるといいなと思います。それぞれ家族構成も違うし、被災状況も、仕事も違うじゃないですか。家を直せる人もいれば、できない人もいる。被災者とひとくくりにするのではなくてね。

黒岡

僕はボランティアしているときに、たくさんの高校生を見かけました。声をかけたかったのですが時間がなくて、話ができるチャンスがあるとよかったなと思います。

ボランティアが楽しいと「よっしゃ、行こか」ってなります

黒岡

災害ボランティアをやって、真夏だったし一番大変だったのは暑さです。まず装備が暑い。

頼政

装備は大事なんですけど、暑さを避けるために活動時間を少し早めにしたり、夕方にずらしたり融通がきけばいいなと思います。夏場の農業なんかもそうですもんね。ボランティアセンターの仕組みの中で動くというのがスタンダードなんで難しいところもあるんですが。

黒岡

ボランティアセンターに一斉に人が集まって人口密度が高くて大変だったから、そういうことができるといいですね。

池内

私の場合は事前に授業で必要なことを学んでいたので、ボランティア活動の知識があるとないとでは気持ちの持ち方が違うと思いました。それでも、初めてのときは「失敗したらあかん」みたいな緊張がありました。

頼政

「失敗したらあかん、迷惑かけたらあかん」をもうちょっと緩やかにしたいですね。人間誰でも失敗するし、失敗してもいいんちゃうかな。被災地の状況は日常じゃないし、従来通りのことが通用しないことがたくさんあります。
だからこそ、小さなチャレンジもありなんです。いろんな人がアイデアを出し合って、「小さな失敗で済むんなら、チャレンジしてみよか」みたいなことができたらいいんじゃないかな。

黒岡

暑い、しんどいだけじゃなくて充実感もありましたよ。“楽しかった”って言っていいのかどうか・・。でも、ボランティアが楽しいと「よっしゃ、みんなで行こう」となるかもしれないです。

池内

私も九州北部豪雨で傾聴ボランティアをしたとき、夜に全国からのボランティアが集まって朝までししゃべり続けました。それがめちゃくちゃ楽しかったんです。だから、アルバイトでお金を貯めたらすぐに行くようになりました。

頼政

楽しいというのはいいですね。支援する側に気持ちの余裕があるのは大事なことだから。
泥だし作業もやってみると楽しいでしょう?スコップを使いこなしてきれいな泥だしができるようになったり、土のうのすごい結び方を覚えたり。土のうがきれいに積み上がってみんなで喜ぶとかね。

池内

そういえば、ナオト・インティライミさんが作ったという土のうを運んだことがあります。めっちゃ重たかったんですが、ちょっと嬉しかった。

頼政

しんどいだけだと続かないし、真面目にやりすぎないというのもコツです。自分が体験すると、次の人にいいアドバイスができるしね。

黒岡

現場は暑くてこまめに休憩しないと大変でした。地元の人はこれが毎日なんですよね。僕の場合は、持参した飲み水がどんどん減っていったので、次に行く人には水を多めに持って行くようにアドバイスします!

頼政

ボランティアをしているといろんな出会いがあります。下を向いてた人がちょっとだけ前を向くことができたり、人の人生が変わる瞬間に立ち会えたりすることもあって。自分の人生も変わりますよ。ボランティアに来た人が今度は被災者になることもあれば、支援をしてもらった人がボランティアとして被災地に行くこともあります。助け合うことで災害に強くなっていくんですよね。

撮影場所:神戸市兵庫区(被災地NGO恊働センター・湊川公園)

黒岡優眞が感じたこと

頼政さん、池内さんと話をして僕が感じたことはたった一つ。「ボランティアを楽しいものに、そして楽しくボランティアをする」ということだった。
なぜ、そう思ったのか。それは頼政さんがボランティア活動のことを楽しそうに話していたからだ。災害ボランティアというのは、重い泥や荷物を運ぶ、掃除をするなど大変なイメージが先に思い浮かぶ。だけど、頼政さんは違った。もちろん、大変なことや苦労した話もしてくれたが、それよりも笑える話や心が和む話が多かった。
頼政さんは被災地に行き、そこで被災地の人と交流をしたり、友人関係になったりする。そこで、他愛のない会話で盛り上がったことを本当に楽しそうに話していた。その姿をみて僕は、「災害で失うものがあるのなら、逆に必ず得るものもある」と思った。

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