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健康食品・サプリメントのうそ・ほんと  Vol.20 最終回
金沢 和樹  

プロフィール 
神戸大学大学院 農学研究科教授

コープこうべ商品検査センター顧問

 

 

 

 
 

20 何をどれだけ食べればよいのか・その2

―毎日野菜・果物・茶を
 機能性の非栄養素はすぐに体外に排泄されてしまいます。体の中にないのならば効果はないのではないかという意見がありますが、これは風邪薬のような医薬を思い出していただければ判ると思います。医薬もすぐに排泄されるので一日3回毎食後に服用するように言われます。体に蓄積されないから副作用が低い、しかし血中濃度をある程度維持しなければ風邪は治らないので、先に飲んだ薬が体外に捨てられてしまうまでに次を続けて服用するのです。食品の機能性非栄養素の場合も同様です。排泄が早いものでは2時間で体内濃度が半分になります、遅いものでは23時間です。平均すればおおよそ一日に1回摂ればよいと思えます。もちろん一種類の野菜ですべての機能性成分が補給できるわけではありませんので、多様に摂る必要はあります。できるだけ3食に野菜や果物を副食として添えるのが好ましく、緑茶などを1日1回以上飲むのが好ましいと思えます。

 

― 一日30種類の意味
 野菜、果物、緑茶の1種類だけではとても体の健常の維持に必要な機能性成分を網羅することはできません。また、機能性成分は蓄積しないので副作用はないと書きましたが、悪い作用を全く持っていないという意味ではありません。例えば抗酸化作用が強い成分は、抗酸化能を示した後は、自身は活性酸素の発生剤になります。これはそれほど強い作用ではありませんので、副作用というほどではありませんが、できればこの活性酸素発生剤も消去した方がよいことはお判りいただけると思います。すると、機能性成分を食べる、それが機能を発揮した後は一部が悪い成分に変わる、ならば別の機能性成分でその悪い部分を除くのが理想という図式になります。これが一日30種類の根拠です。具体的に書きますと、体にエネルギーを供給するために人は糖を食べなければなりません。糖はミトコンドリアで代謝されてエネルギーを作りますが、そのときにどうしても活性酸素が発生します。発生した活性酸素を消去するにはビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどの抗酸化剤が必要です(本シリーズ4の「抗酸化食品」参照)。しかしこれらも抗酸化作用を示すと酸化して壊れます。壊れた酸化形のビタミンをもとのビタミンに戻すには糖が作り出したエネルギーが要ります。壊れたポリフェノールを体外に捨てるためにも抱合体を作る糖とエネルギーが必要です。だから糖を食べますという図式です。健常とは、この循環の図式をスムーズに回転させて恒常性を保つという意味です。一日30種類の食品を食べることには大きな意味があります。

 


―おいしいものを少しずつ多彩に

 では、何が一種類なのか、葉一枚も1種類か、醤油の1滴も1種類かということを考えてみます。その食品に機能性成分がどの程度の濃度で含まれているかが判断基準です。筆者は数百種類の食品の機能性成分含量を測定しました。そのすべてではありませんが、国立健康・栄養研究所のサイトに公開されていますので参照してください。

→http://www.nihn.go.jp/FFF/ index.jsp

本シリーズ17の「食生活でのがん予防」の中に書きましたように、香りの強いハーブ類や、刺激の強いニンニク、ニラ、タマネギ、ネギ類は、キャベツやレタスなどの一般野菜類よりも数倍から数十倍量の機能性成分を含んでいます。機能性成分が多いものは少量で1種類としてよく、シソならば一枚かそれ以上、ニンニクならば一片、ネギやニラは1本以上、タマネギは4分の1個以上を1種類と数えていいと思います。本シリーズの図3のピラミッドを参照に見てみましょう。

 

 

ピラミッドの上段の食物が少量で1種類です。緑茶は1煎分です。ベーターグルカン給源のキノコや海藻などは、グルカンが消化管細胞を刺激すればよいので、10 gほど以上ならば1種類。
中段の野菜果物類は25 g以上で1種類でしょう。下段の食物のうち、上の段の豆腐は4分の1丁以上、卵は一個、納豆はおおよそ15 g以上が1種類。魚、肉類と牛乳はタンパク質、脂質やカルシウムの給源と考えてそれぞれおおよそ80 gが1種類でしょう。貝類とイカは、魚と別に数える1種類です。最下段の糖質供給源は機能性成分をあまり含んでいません。エネルギーの供給源ですので、ご飯ならば1膳、パンならば1枚、うどんやラーメンは半麺、ジャガイモやサツマイモ(小さめ)ならば1個以上を1種類とすればいいと思います。調味料の胡椒、唐辛子、わさびなどは機能性成分が濃い食品ですから、その味を感じることができる程度の量ならば1種類でいいと思います。醤油の機能性成分はイソフラボンやメイラード反応産物ですが、1滴ではだめです。かといって多量では塩分のとりすぎです。醤油は数えずに同じ成分を含むお味噌汁で代用するのがいいでしょう。嗜好飲料のコーヒーやジュース類は1杯を1種類と数えていいと思います。

これらを組合せて一日30種類を献立するのですが、どれだけ摂ればいいのかなど細かいことを考えていると、ストレスがかかり、美味しくも楽しくもありません。毎日食べたものを食事記録として付ける習慣をつくれば、いつの間にか30種類が達成できると思います。食事の基本は、気の合う家族や仲間と、美味しく楽しくです。一日30種類という数だけを頭におき、できるだけ野菜を摂るように努力し、美味しいものを少しずつ多彩にというのが一番だと思います。日々を楽しみましょう。

 

 

 →20回にわたって連載してきました「健康食品・サプリメントのうそ・ほんと」シリーズは、今回が最終回です。長い間、ご愛読いただきましてありがとうございました。

 

 



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