コープこうべ商品検査センター
 
安心をPlease
10月度の検査報告
細菌検査(腐敗やカビなど)
1020件
理化学検査(残留農薬、添加物、栄養成分など)
193件
衣住関検査(繊維製品、家庭用品)
20件
官能検査(来館パネラーによる商品開発のテスト
9品目  481人
官能検査(在宅モニターによる商品開発のテスト
2品目 164 人
お申し出対応
382件
工場点検
5件
見学・講師派遣
11件 234 人


10月は新米の検査で大忙しでした

皆さんはもう、おいしい新米は召し上がりましたか?
商品検査センターでは、新米の取り扱い開始前に、コープこうべで取り扱う全銘柄米の原料玄米を産地ごとに検査します。重金属検査は、カドミウム、鉛、銅などの含有量の測定をします。カドミウムは、地球上の岩石、土壌、水などの中に天然に存在しており、その上で生活している動物や植物にもある程度含まれているものです。イタイイタイ病の原因として知られていますが、通常の食品や水に含まれる低濃度では発症しません。農水省が非食用として買い上げて流通させない基準値0.4ppmを超えるものがないかの検査を行いました。毎秋、約80品目の検査を行っています。

米の重金検査についてはこちらから


 
原料玄米の一例
 
まず灰化炉に入れて灰化します

 
 


「私たちの健康と他者への配慮」
〜食をめぐる状況を多面的に語る〜    科学ライター 松永和紀

今回は11月の「たべる、たいせつフェスティバル2006」に向けた3回シリーズの公開学習会の最終回として行われた講演内容の一部を紹介します。
 
講師紹介 松永和紀さんは長崎市生まれの東京育ち。京都大学農学部を卒業後、大学院に行き、毎日新聞社の記者として10年間勤務のあと退社、現在はフリーランスの科学ライターです。「主婦として母として日々安くておいしい食品づくりにも頭を悩ましつつ、農業・食・環境関連の記事を執筆している」と述べています。著書は『「食品報道」のウソを見破る?食卓の安全学』(家の光協会)など。



****松永和紀さんの講演より****
2006年9月28日(木)生活文化センター大ホール

心配するべきは何か
 生活者の視点で今の環境に関する報道を見ると、気にしなくていいものを危ないとしています。私が言いたいのは「本当に心配すべきことを心配しましょう」と言うことです。そのキーワードが、「他者への配慮」です。私たちは食の安全を考えてきましたが、これからは他者への配慮を考えなければなりません。「農家はどうしているのか」「外国で日本向けの食糧生産をしている国の方々はどうしているのか」を考えないといけません。

漠然とした不安の中身
 昔は食中毒と残留農薬、食品添加物くらいを心配すればいい状況でした。今はBSEや遺伝子組み換えなど新しい不安が多くあります。私たちは漠然と新しいものを心配し、怖いと思っています。不安を解消するためには整理する必要があります。
漠然とした不安の具体例をあげます。2003年9月の食品安全委員会の調査ですが、食品の安全確保のために改善が必要な段階を食品安全モニターにアンケート調査しました。モニターの約8割が、農業生産の現場を改良すべきだと考えていました。家庭や外食段階の調理や保存において改善が必要と答えたモニターは、それぞれ数%しかいませんでした。

認識が違う食中毒
 しかし、食中毒は年間に2〜4千件が発生しています。患者数が今は3万人弱です。注目したいのは死亡者数で、年間十数人の時もあります。食中毒の原因は食材の問題もありますが、調理段階が原因であることが多いのです。調理段階で、例えば腸内出血性大腸菌O157ですと、肉を他の食材につけ、加熱せずに置いたままで、菌が繁殖して、それを食べて食中毒になったなどの原因が多いのです。ところが多くの人が、「食中毒」を心配せずに、「農業生産段階をなんとかして」と思っています。これを見ると認識と現実にずれがあり、気をつけるべき点を私たちが気付いていません。

食中毒より農薬を取材
 2002年は食中毒で18人亡くなりました。栃木県でO157食中毒事件があり、老人が入る病院とその隣の付属の高齢者保健施設の両方の給食で計9人のお年寄りが亡くなりました。食の事件としては大きなものです。でも、私はこの時にO157菌の食中毒事件を取材していないのです。2002年は中国産の冷凍ほうれん草に農薬が残留していたり、日本の農家が無登録農薬を使ったりで、大騒ぎしていました。私も、こちらの取材に一生懸命でした。残留農薬で亡くなる方はいないのですが。対するO157事件は、9人も亡くなっているのに新聞でも小さい報道となりました。リスクの大小と紙面報道の大小が、一致せずずれています。
 食の安全のためには、O157の食中毒がなぜ起きるのかなど、防止方法を私たちは知る必要があります。無登録農薬の情報も大事ですが、リスクの大小からするとO157菌のことをきちんと伝えるべきでした。ところが、人が亡くならない無登録農薬と中国産冷凍ほうれん草で大騒ぎです。そして、私も大学の栄養学の先生から「リスクの高いものを報道しなさい」と怒られて気が付いたのです。

メディアの特質はリスク情報
 マスメディアがどうしてO157を書かずに、無登録農薬の残留農薬や中国産の野菜の話で大騒ぎしたのか。それは、その話題に新鮮味があったからです。「えっ!?どうなっているの」という新しい話題の提供だったからです。O157は、「またか、貝割れ大根で騒いだあの菌ね」という印象で関心をそそらない。メディアは人が求める情報を提供します。視聴率を上げる、新聞を買ってもらうための興味を引く情報を提供するのがメディアの特質なのです。

確かな情報を集めるには
 新聞やテレビを批判しましたが、記者は技能や知識もあります。やっぱり私たちに情報を伝えてくれるいい媒体です。この媒体を元にして自分たちで情報の質を高めていただきたい。その時に、情報発信源に逆さかのぼってなるべく加工されていない、恣意的にゆがめられていない情報を得ていただきたいと思います。
 行政情報は信頼性が高いです。厚生労働省はエイズ問題の時に、農林水産省はBSEの時に何をしたのかという話が出ますが、その後、批判されて中央官庁や自治体も反省し、情報公開に努力しています。行政情報を収集し、その上でさらにプラスアルファの情報を仕入れて、先入観をもたずに知識を更新していただきたいのです。科学情報は、常に新しい研究成果が加わり、変わっていきます。昔の情報にとらわれずに、知識を更新していただきたいと思います。インターネットは有力な情報収集ツールですからおすすめです。

本当に心配しなければならないこと
 私は、食品添加物なども心配していません。不安なのは農家の高齢化です。今後、農産物を作ってくれる人がいるかということが心配です。基幹的農業従事者における高齢者の割合は60%近く、平均年齢は63歳です。この人たちは今後私たちの食を作ってくれるのでしょうか。私たちは減農薬栽培がいいとか、国産牛肉を食べたいと言っていますが、「いくら望まれても、もうできない。農業をやめる」という状況が起きつつあります。だからこそ他者への配慮が必要であり、生産者を支えて協力し合って、いい食を作り上げていくことを、消費者が考えないといけません。
食料を私たちに供給してくれることなしには、食の安全は成り立たないのです。消費者が行動を変えてください。「私たちは支えますよ」「協力し合っていい食品を作りましょう」と声をあげていただきたい。発言して一歩踏み出すと変化が起きます。全国の生協の規範となるような活動をしていただきたいと思っています。

講演後のパネルディスカッションの様子


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