7.生活習慣病予防
植物性食品の野菜、果物、茶には多種多様なポリフェノール・フラボノイドが豊富に含まれています。これらはいかにたくさん食べても体がそのほとんどを糞便に排泄してしまい体内にはほとんど吸収されません。しかし、ごくわずかが体内に取り込まれ、それが少しずつ病気予防効果を示します。その効果は大きく分けて2つあります。多くのポリフェノール・フラボノイドがその2つを併せ持っていますが、一つは「その4」で書きました抗酸化効果です。もう一つは、ポリフェノール・フラボノイドが体内の酵素、受容体、輸送担体などに作用する「タンパク質機能調節作用」です。タンパク質機能調節作用はダイナミックに体の機能を調節します。この作用が最近話題になっているメタボリックシンドローム予防などの、生活習慣病予防効果です。
―生活習慣病予防効果―
食品に含まれているポリフェノール・フラボノイドは270万種類あり、それぞれの化学構造が異なりますので、作用する相手のタンパク質も多種多様です。しかしおおよそ3群に分けることができ、相手のタンパク質も3群に分類できます。そしてその結果予防する病気も図11のように分類できます。


図11.野菜、果物、茶に含まれるポリフェノール・フラボノイドの作用経路と生活習慣病予防効果
根菜類に含まれる成分、ネギ類に含まれる成分は、同じ機構で体の抗酸化防御系を担うタンパク質を刺激して体の解毒活性を上げて耐性を高めます。生活環境や食品には様々な異物が含まれていますが、それらが体の中に入ってきても、それを速やかに解毒して尿に排泄する酵素を発現させて体を護るのです。結果として一部のがんを予防します。葉菜の成分はダイオキシンの毒性を抑えます。また、塩素イオンを輸送するタンパク質を調節して高血圧を予防、腎機能改善、難聴予防などの効果を示します。また、ヒスタミンの分泌を調節してアレルギーを軽減するものもあります。大豆や葛に豊富に含まれるイソフラボンは、ステロイドホルモン受容体の機能を調節して更年期障害を軽減し、子宮がん、乳がん、前立腺がん、骨粗鬆症などを予防します。また、環境ホルモンの毒性も軽減します。イソフラボンは脂肪蓄積にかかわるアディポサイトカインというタンパク質の機能も調節してメタボリックシンドロームを抑えます。緑茶に含まれるカテキンにも類似の効果があり、脂肪細胞への脂質の蓄積を抑え、血糖値を調節し、肥満を抑えてメタボリックシンドロームと糖尿病を予防します。これらはヒト試験でおおよそ証明されています。
―どれだけ食べればよいか―
ポリフェノール・フラボノイドをボランティアに食べてもらって、血中濃度と尿への排泄を測定したデータがたくさんあります。それによると、ポリフェノール・フラボノイドを野菜から摂っても、サプリメントカプセルで多量に摂っても、いずれの場合もほとんど体内に吸収されず濃度はほぼ同じ1.5マイクロモルという低い量でした。しかも、体内に取り込まれた微量のポリフェノール・フラボノイドのすべてが25時間で尿に排泄されていました。アミノ酸などの栄養素が排泄されるのにかかる時間は100日以上ですから、ポリフェノール・フラボノイドの排泄は驚くほど速やかです。簡単に排泄されるなら効果は示せないではないかと心配することはありません。むしろ簡単に排泄されることが重要です。ポリフェノール・フラボノイドを速やかに排泄できるということはその代謝排泄系が人の体の中で確立しているということです。つまり、体に蓄積しない安全な物質だということを意味しています。薬などの毒物は体の中に長い間とどまり、蓄積するので副作用などの毒性を示します。毒性がない安全なポリフェノール・フラボノイドで生活習慣病を予防するのは理想です。しかし、速やかに排泄されてしまうという欠点を解消しなければなりません。つまり、体の中から消えてしまうまでに新たに補充することです。毎日野菜・果物を適量摂り、合間にお茶で一服するのは、科学の理にかなった健康増進法です。
―やはり食事から―
食事で摂るのは面倒だからサプリメントという考えが浮かんできます。しかし、もう一度図11を見て下さい。ポリフェノール・フラボノイドは多様で、作用する相手も、予防する病気も多様です。そのすべての病気を予防しようとすれば多種類のポリフェノール・フラボノイドを含むサプリメントを何百種類も服用しなければなりません。ところが、例えば朝に葉菜、昼に果物、夕食に根菜とネギを含む味噌汁、休憩時にお茶とすれば容易です。さらにサプリメントで摂れば「その5」に書いた摂り過ぎの問題があります。野菜や果物からならば、野菜・果物に含まれる食物繊維がポリフェノール・フラボノイドの体内吸収を抑えてとりすぎを防いでくれます。やはり、サプリよりも野菜ですね。
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